バブルの時期、大学に入った私は、大学生向けの雑誌のライターをやっていました。のちには北九州地区の責任者をやるのですが、最初はペーペー。その学生雑誌は九州一円の大学に無料配布されていて、当時は広告も取れやすかった時代。無料で配布を行っていたフリーペーパーでした。私はその中で時々、取材をやるぐらい、毎月の集まりの飲み会が楽しくて参加していました。そして、2年目「コラム」を書いてみないと編集長に言われて、北九州のあらゆる場所に行って、名所・穴場を紹介するコラムを書くことになりました。ただ、この時代トレンディーな内容が好まれた時代。恋愛ものやおしゃれなな内容が受けた時代です。そのようなコラムは学生から人気があって、読者アンケートでは多くの支持を受けていました。一方、私のコラムは地味そのもの。超マニアックで、今考えればこんなものだれが読むのって、恥ずかしいばかりです。しかし、私が大学卒業までこのコラムは続いたのです。編集長にその理由を聞きました。「たしかに、地味だったけれど、毎月、アンケートに君の記事がいいってあるんだ。決して多くはないけれど、必ず毎月あったんだよ。」とのこと。さらに「君の文章は良いときとそうでないときがはっきりしている。先月の文章は読んで泣いたよ。」
私は派手なことを嫌います。ただ、自分の地味なコラムを毎月読んでくれる人がいるんだ。ということに自信をもったのです。たとえ、少数でも、努力をしていたら、見てくれている人がいる。そのひたむきな努力の大切さを伝えられたらと思います。