先ごろ亡くなった上智大学名誉教授の渡部昇一氏の著書の中で、以下のような記述があった。
「私がイギリスに留学していた頃、大学の教官から、『歴史から学びなさい』との教えをうけた。」
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」 これはドイツの鉄血宰相と呼ばれたオットー・フォン・ビスマルクの格言です。
歴史は多くの偉人の失敗の積み重ねです。人間は愚者ですから、同じ過ちを繰り返すのです。
ちなみに、幕府政治の変遷をたどると、幕府政治は歴史の反省の上に成立していることがわかります。
鎌倉幕府は 執権北条一族の独裁政治でした。その反省を踏まえて、室町幕府は有力守護大名の斯波氏、畠山氏、細川氏による管領が将軍を補佐しました。そして、江戸幕府では、将軍の補佐をした老中は、徳川氏に三河以来使えた譜代大名から複数選ばれました。実務をつかさどるNo.2は強大な権力を持ちましたから、ある一族は権力を濫用しないように、単独から複数による合議へと変化させていったのです。
人々が紡いだ歴史を学ぶことは、私たちを今を振り返ることにつながります。