私の読書歴の中で、絶望的な気持ちにさせた本は2冊。それは中根千絵氏の「タテ社会の人間関係 単一社会の理論」と、この本。
群衆に論理、理性は通用しない。群衆が歴史を作るのだが、その変革はあくまで感情的であり、そこに理性や論理は存在しない、そして、その延長線上にある社会の変革には、群衆により多くの犠牲を伴い、その犠牲の上にしかない。
読めば読むほど、地獄の底につき落とされるよう。群衆は愚かな存在である。民主主義の闇を感じ、今の社会は幻想であり、そして民衆の感情の塊が激しく燃え上がったときにはどうすることもできない。その感情が冷えるのを待つしかない。
私の信じていた理性の力を、完全に否定されることは、自分の存在意義さえも揺らぐような気させる。
歴史の本質、社会の本質を突く古典だ。