私は美術館へ結構行きます。だからと言って、絵画を描いたこともありませんし、絵について詳しいわけでもありません。絵画の歴史に興味があって、本を何冊か読んではいますが、読めば読むほど、その奥深さに迷宮に入りこんだ気がします。
それでも、なぜ美術館へ行くのか。
それは、気軽に一流を呼ばれる芸術に接することができるからです。
画商であった友人に勧められ、美術館に通うようになりましたが、何も感じることはありませんでした。美術館に飾られる絵の良さが全くわからなかったのです。
しかし、何年も通い、絵を見続けると、何かしら、心の琴線に触れる体験をするのです。
一流の芸術は、なかなかその本性を現してくれません。つまり、見る側もそれだけの眼をもっていなくてはいけないのです。
まだ、私の感性は未熟です。しかし、絵を見続けるという修練を経て、私の正面に存在する絵の世界が少し近づいてくれるようになった気がするのです。