私が高校のころ、非常に厳しいことで有名な化学の先生がいました。
高校1年の春、進学した高校で勉強する意義や進路に悩んでいた私は、だれかにこの苦しい心のうちを相談したいと何人かの先生に相談したのです。
先生の反応はさまざまでした。その中で、ずっと私の話しを聞いてくださったのが、その化学の先生でした。私は文系に進んだため、化学を履修することはありませんでした。しかし、また不安が襲った3年生の春にまた同じ先生に話しを聞いてもらいにいきました。また、同じように何時間も聞いてもらいました。全く、接点もない生徒の話しをずっと聞いてくれたのです。私の考えや不安に対して何も批評めいたことは言いません。ずっと聞いてくれたのです。
今は厳しい先生は敬遠される時代です。私も塾の講師人生の前半はとにかく厳格な講師でした。現在でも厳しいときは厳しいのですが、随分角はとれました。
しかし、化学の先生のおかげで私の高校時代の困難はなんとか乗り越えることができました。厳しさの中にある本当の思いやり、それが私の塾講師としての矜持です。